本記事ではInstagramの運用代行を行う株式会社SAKIYOMIのマーケティング責任者を担う田中龍之介氏に、Instagramの市場感や運用に失敗してしまう企業の特徴についてお伺いしました。

Instagram市場はセオリー・ノウハウが少なく挑戦しづらい

Instagram市場はセオリー・ノウハウが少なく挑戦しづらいBtoBにおいてInstagram運用の優先順位は高くないInstagram運用を失敗させる企業側の3つの要因1.そもそもリソースが確保できていない2.アカウントの初期設計がしっかりとできていない3.明確な指標を持っていないInstagram上に市場がない場合は「ナーチャリング目的」での運用に切り替えるべしInstagramとの相性の見分け方は「個人ニーズの有無」Instagram運用における施策の優先順位ゼロベースから始めるならインハウスではなく代行会社に依頼すべき運用力を見極める3つの変数まとめ

――Instagramの現在の状況や市場感について教えてください。 田中氏:Instagramはそもそも「挑戦ができない」あるいは「しづらい」状況にあります。 現状だとInstagramは「暗中模索」の様相が強いように感じます。確立されたセオリーやノウハウが少なく、「どうやったら成果が出るのだろう」というのがわからないんです。 それにともなって成功事例も本当に少ないのも問題と感じています。結果的にフォロワーが増えたというパターンもありますが、何がどう作用してフォロワーの獲得につながったのかまで分析できていないので、「なぜうまくいっているのか」がわからず、再現性がありません。 成功事例が少なく成功のためのロジックについても説明できないと費用対効果のシミュレーションが出せないので、Instagram運用に乗り出せないというケースが多いです。

逆にSAKIYOMIでは平均4.2ヶ月で1万フォロワーと再現性高く成果が出せているのは、この運用ロジックを明確にしているからです。 「投稿へのアクション促進」「投稿→プロフィールの導線改善」「プロフィール改善」「フォロワーとの継続接触」を何度も繰り返すことで、効率的にフォロワーを増やすことができます。 参考:プロが実践する!インスタでフォロワーを増やす施策13選【2022年最新版】

BtoBにおいてInstagram運用の優先順位は高くない

田中氏:Instagram運用が失敗する要因は市場状況などの「外的要素」と自社の状況などの「内的要素」に大別できます。 まず市場感についてですが、BtoC・BtoBでInstagram施策の優先順位は変わります。美容関連などBtoC商材を扱う場合、Instagram運用の優先度が高いです。実際に多くの企業がInstagram運用を行っており、成功事例も数多くあります。 一方BtoBの場合、Instagram運用の施策としての優先度は決して高くありません。扱う商材によってInstagramそのものとの相性が良くなく、成功事例も少ないため再現性も低いです。 BtoBの場合はInstagram運用よりも優先度の高い施策が多くあります。リスティングなどnのほかのWeb施策をやり切ったうえで、Instagramに着手するという順番を意識しましょう。

Instagram運用を失敗させる企業側の3つの要因

田中氏:当たり前のことですが、Instagram市場や商材との相性だけではなく、運用体制など企業内の状況も運用を失敗させる原因です。 失敗の原因は大きく分けると以下の3つとなります。

1.そもそもリソースが確保できていない

田中氏:Instagramの運用に十分なリソースを割かないと、成果の創出はおろか、継続的に実行し続けることすら困難です。そもそもInstagramを片手間で実行しようと思っても成功しません。

通常の業務に加えて片手間でInstagramを運用しても、投稿頻度・投稿の品質も低いままとなります。 うまくいかない期間が数カ月から半年続くと、「投資の価値がない」などとやめてしまうのが鉄板パターンです。

2.アカウントの初期設計がしっかりとできていない

田中氏:アカウントの初期設計を雑に行ってしまうと失敗しやすいです。 例えばオウンドメディアだと立ち上げの際にキーワードツリーを作ったり、競合分析したり開始までに十分な時間をかけて戦略を立案すると思うのですが、Instagram運用ではそれがおろそかになっている企業が多いです。 キレイな写真を載せて「インスタ映え」さえあれば集客できる、と勘違いしている方が多いので、アカウント設計が雑になってしまう傾向にあります。

ブランディングを目的とした運用の場合、ブランド起点で発信するコンテンツを決めるため、自社商品の情報を一方的に紹介する形でも問題ありません。そのため、インスタ映え中心のコンテンツでも十分価値があります。 しかし集客を目的としたInstagram運用の場合、ブランドありきではなく、ユーザーありきでコンテンツを考えなければなりません。ユーザーのニーズに合わせて、自社商品以外を紹介するなど、運用方法が異なります。

3.明確な指標を持っていない

田中氏:感覚頼りの運用もよくある失敗パターンです。

上記の図はフォロワーが増える一連の流れやアカウントの改善項目を言語化したものです Instagramは保存率やホーム、プロフィールアクセス率など見るべき数値が多くなるため、図のような明確な指標をもって運営しなければ、何に注力したらいいのか迷ってしまう場合があります。 Instagramにおいても広告運用同様フォロワーを獲得するための計算式や指標があるんですが、それを理解せずに運用してしまうと「なぜフォロワーが増えないのかわからない」という状態が延々と繰り返されます。

Instagram上に市場がない場合は「ナーチャリング目的」での運用に切り替えるべし

――Instagramをこれから挑戦していこうと考えているユーザーに向けて、最初にやるべきことをお伝えするとしたらどんなものがありますか? 田中氏:まずは市場やユーザーの分析です。3C的にInstagramの中の市場感を整理し、ユーザーが何を求めているのかという部分を分析していくことが大切です。 ――最初に実行すべき施策については、BtoB・BtoCともに同様でしょうか? 田中氏:基本的には同じ流れで進めてください。変わるケースがあるとしたら、Instagramに市場そのものがないときです。 Instagramに市場がない場合はナーチャリングチャネルとして利用するのが良いでしょう。わかりやすくいうと「メルマガの代わり」です。 Instagramだとメルマガと違って毎日レベルでユーザー接触できます。また、SNSの特徴として属人性を出しやすいので、ファンも作りやすいです。 このようにナーチャリング目的でのInstagram運用であれば、どの企業も比較的費用対効果を合わせやすいです。

Instagramとの相性の見分け方は「個人ニーズの有無」

――Instagram上での市場の有無はどうやって確認すれば良いでしょうか? 田中氏:「個人ニーズがあるかないか」で考えるとわかりやすいですね。 例えば椅子の組み立てに使うネジなどの部品名でハッシュタグ検索しても、ハッシュタグボリュームはゼロだと思うのですが、このようにユーザーが情報収集していないような状況を「市場がない」と言っています。

市場がない以上、Instagramの運用目的は集客ではなくナーチャリングに切り替えるのがいいでしょう。 ただ、一段階上のコンセプトで市場がある場合もあります。例えば「エンジニアスクール」で仮に市場がなかったとしても、「ビジネスのキャリアに関する悩み」などであれば市場があるというケースもあります。 一個人として見れないジャンルは市場がないケースがほとんどです。例えばマーケターがスキルアップしたいという目的でInstagramの投稿を見ることがありますが、製造業だと個人が興味を持つこと自体稀有なので市場が生まれないです。 Instagramとの相性を考える際は「個人ニーズを刈り取れるか」というのが1つの指標です。

Instagram運用における施策の優先順位

――実際に「Instagramを運用するぞ」となったときに、やるべきことは多岐にわたると思うのですが、実行する施策の優先順位はありますか? 田中氏:まずはアルゴリズムにレコメンドされる状態を作ること。これが先決です。 オウンドメディアを立ち上げる際に、いくらCV周りの施策を最適化してもPV数伸びなければインパクトが薄いと思うのですが、Instagramについても初期段階でリーチが出ないと何をやろうとも成果にはつながりにくくなります。 その初期のリーチの獲得の仕方はフィード投稿でアルゴリズムにレコメンドされることが基本です。なので、この状態を作り上げることが最も重要です。

レコメンドされているかどうかは投稿のインサイトを見れば一発でわかります。 インサイトにフォロワー外にリーチしている割合が表示されるのですが、バズっている投稿だと99%フォロワー外になっています。 逆に8割以上がフォロワーの状態だと、フォロワー外にリーチできていないので、フォロワー数も増えていきません。

ゼロベースから始めるならインハウスではなく代行会社に依頼すべき

――Instagramの運用ですが、インハウスで挑戦すべきか、代行に依頼すべきかはどこで判断すべきでしょうか? 田中氏:正直、ゼロベースから始めるのであれば代行会社に依頼するのが良いでしょう。インハウスで進めるとなると、その企業の「運用力」が強く求められます。 運用力があれば比較的スムーズに費用対効果が合ってくるかと思いますが、運用力がないと成果を生み出せずに頓挫してしまうケースがほとんどです。

運用力を見極める3つの変数

田中氏:運用力については3つの変数があります。 1つ目は「そもそもリソースを確保できるのか」という部分です。結局運用のためのリソースがないと施策の実行力そのものが不足してしまいます。リソースについては、最低限確保が必要です。片手間ではなく、専任で担当できる方がいると良いでしょう。 2つ目は「運用のセオリー・ノウハウを知っているか」です。Instagramを正しく運用するうえで、Instagramのセオリー・ノウハウを知らないとセルフチェックできないので、暗中模索の状態から脱却できません。 3つ目は「Instagramユーザーのインサイトをどれだけとらえられるのか」という定性的な指標です。ユーザーが深層心理で考えていることをどれだけ正確にとらえられるかがポイントです。 インサイトをつかめる、かつ「Instagramっぽさ」を理解しないとアカウントを伸ばすことが難しいです。 弊社だとInstagram専用のカスタマージャーニーマップを作ることで一定水準まで品質を引き上げることができるんですが、インハウスの場合だと属人性が求められます。

まとめ

Instagramの運用が一般的になってきていますが、現状だとまだまだセオリーやノウハウなどが浸透していないため、暗中模索の状態で運用し続けている企業が多くいます。 BtoCの場合はInstagramとの相性も良く、成功事例も多いので今すぐ運用に乗り出さなければなりませんが、BtoBの場合は必ずしもInstagramを始めるべきとは限りません。他のWeb施策を優先して、その余力で取り組むのが良いでしょう。 Instagramを失敗させる企業側の要因としては「運用リソースが確保できていない」「ノウハウセオリーが足りない」「明確な指標を追えていない」などが挙げられます。 そもそもInstagramに市場がないという場合は、集客としてではなく、ナーチャリングチャネルとしての運用に切り替えるのが得策です。 インハウスか代行会社に依頼かは企業の「運用力」によって変わりますが、運用力はマーケターの能力に依存してしまいがちなので、初めてInstagram運用に乗り出すという場合や、過去に運用がうまくいかなかったという経験がある場合は、代行会社への依頼がおすすめです。

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